今般の公設秘書採用に係る報道について

平素より、様々な活動においてご支援いただきまして、ありがとうございます。9月18日付の毎日新聞に掲載された記事について、ご説明させていただきたく、ブログにて掲載させていただきます。

記事の内容において、元市議会議員である甲斐隆志氏と市来隼氏を議員任期中に公設秘書として雇用していたことは事実です。本来であれば、その際に衆議院議長に対し「兼職届」等を提出する必要がありますが、それを失念していました。公設秘書の兼職については、議員が許可すれば認められる例外規定がありますが、兼職届等の提出の失念により、有権者の皆様を含む多くの皆様に疑惑の念とご心配をおかけし、大変申し訳なく心からお詫び申し上げます。

先日、新聞社からの指摘を受け、すぐに議員会館の政策秘書に届け出の事実を確認しました。本人の記憶が曖昧であったため、衆議院事務局に問い合わせた結果、指摘の通りに兼職届けが提出されていなかった事実が判明しました。兼職届けを提出する役割を担っていた秘書本人からは、自身の事務的なのミスであることに深く反省する旨の報告を受けました。ただし、指摘がなければ未提出の事実に気付くのが難しい制度であるとのことで、今後は、このような過失が再び生じないよう、十分な注意を払う覚悟を持っております。

経過としましては、私が衆議院議員初当選の2021年11月以降、急遽事務所の引越しや事務所体制の整備、東京での活動の準備等、さまざまな業務が次から次へと湧き上がってくる中で、公設秘書は国会議員秘書経験者及び地元事情に精通している人物の採用を希望していました。
従って、まず私がやるべき課題はやはり事務所のスタッフ体制の構築でした。しかし、地元事務所を取り仕切る公設秘書や、東京の議員会館を担当する政策秘書が、思うように決まらない中、どんどんと届出や申請書が相次いで寄せられ、非常に厳しい状況に直面しました。その対応のためには、事務所の立ち上げに必要なスキルと知識を持つ人物の協力が不可欠でした。

市来氏は高槻市議会議員に当選前は府議時代の私の秘書もしていただいていましたし、その前は国会議員秘書の経験もあるという点、また甲斐氏においては市議会議員の前は国会議員秘書を10数年務めた経歴があります。まさに、当時の池下事務所にとっては余人をもって代えがたい存在であり、私の府議会議員時代からの活動を知る彼らの経験と専門知識無くしては、事務所の立ち上げも困難だとお願いし承諾いただいた上で、新事務所のスタートから秘書としてお手伝いをいただきました。

その後、希望する人材が見つかれば交代をするようにしていましたが、数ヶ月間は採用面接を複数回したにもかかわらず適切な方が見つかりませんでした。その後、地元の国会議員秘書を経験された方を採用することになり、約4ヶ月程度で市来氏は公設秘書を退任しました。甲斐氏においては、その後にプライベートの事情で本年4月の統一地方選挙に出馬をしない旨の報告を受け、統一選後も引き続き公設秘書として従事してもらっているところです。

もっとも、マスコミからの指摘にもありましたが、報酬を支払わずに働いてもらう選択肢もあるにはあったのでしょうが、彼らが議員としての地位を持っていたため、有権者でもある私への寄付と受けとられかねない選択肢は除外しました。

一方で、東京の議員会館を担当する秘書については、両市議会議員との旧知の間柄である秘書に是非議員会館で勤務してもらうよう依頼しました。初めは難色を示されたものの「当面の間、両市議会議員が公設秘書として地元事務所の体制づくりを、責任を持ってやること」を条件に承諾してもらうことになりました。この事情もまた両市議会議員を公設秘書として雇用した経緯の一つでもあります。

議員には明確な休日というものはありませんが、休日返上で秘書業もしていただきました。特に地元市民の皆さんからのご相談事の対応については、秘書が承ることが多いですが、相談内容が国、大阪府、地元市町と多岐に及ぶことも多く、国や府の内容については私が対応処理、高槻市に関してはお二人にお任せするなど、ワンストップで地域対応をしていました。

今回の報道により、多くの国民の皆さんからのご批判を受け、深く反省しております。ただし、両名の兼職届を出さずに隠蔽し、税金からの給与のキックバックや寄付を求めたことは一切なく、そのことについては明確にお伝え申し上げます。

現在は、新たな体制においてさらなる進展を目指しております。今後も国民の税金を預かる国会議員という立場を深く胸に刻み込み、疑念の余地がないよう一層の努力を続けてまいります。この度の報道で、皆様に多大なるご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

歴史をつなぎ、未来をつくる。リニア中央新幹線

こんにちは。衆議院議員の池下卓です。さて先日、神奈川県と山梨県にリニア中央新幹線の視察へ日本維新の会国会議員団の有志と共に行ってきましたので、今回はその報告をいたします。
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【池下卓が感じた7つの項目】

1.超高速鉄道の必要性
東海道新幹線の南海トラフ地震に対する備えが必要です。半世紀以上にわたり日本経済を支えてきた、大動脈である東海道新幹線の究極的なバックアップとして、また、老朽化対策としても内陸部を走るリニア中央新幹線の開通が不可欠です。
これは利便性の向上だけでなく、国民生活を守る上でも非常に重要な課題です。

2.リニア中央新幹線開業後の日本
日本全体の約半数の人口が首都圏、愛知圏、関西圏に住んでいます。リニア中央新幹線の開業により、東京、名古屋、大阪の移動が劇的に短縮され、大都市圏だけでなく中間地域にも利益がもたらされるでしょう。

3.リニアモーターカーの科学技術
リニアモーターカーの技術について、視察で詳しく学びました。詳細は添付のホームページから動画などをご覧ください。
https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/about/

4.静岡県における状況
静岡県ではリニア中央新幹線の工事に対して水問題・土問題が懸念されていますが、リニアの開通によるメリットも存在し、バランスを取る必要があります。

5.気になる乗車料金
リニア中央新幹線の乗車料金については未定ですが、航空運賃に近い水準になると予想されます。

6.いざ試乗、時速500kmを体感
山梨リニア実験線で実際に試乗し、時速500kmのスピードを体感しました。車体の浮上による静音性の高さに驚きました。

7.いつ開通なの?
リニア中央新幹線の開業時期には課題がありますが、工事の進行状況や土地の取得なども進んでおり、将来的な展望が期待されます。
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【ここからは、さらに詳しくお話したいと思います。】

1.超高速鉄道の必要性
日本でのリニアモーターカーの研究開発は1960年代から行われてきましたが、リニア中央新幹線の必要性は何か。
東海道新幹線が開業してから既に半世紀以上が過ぎました。高速道路だけでなく、鉄道路線も老朽化の波が押し寄せてきています。また、日本は台風、地震など災害が多い国です。
現在の東海道新幹線は太平洋側に路線が作られており、これらの影響を受け経済の動脈である鉄道がストップすることもしばしば。私もこのお盆の最中、東京で仕事をしていましたが台風と線状降水帯の発生のため2日間ほど新幹線が運休、遅延のため地元に戻ることができませんでした。
日本の経済の活性化、またいつ来るかわからない大規模災害に対するバックアップ機能の備えとしてリニア中央新幹線の必要性を感じました。
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2.リニア中央新幹線開業後の日本
首都圏、愛知(圏)、関西圏という大都市圏いわゆるメガリージョンと呼ばれる圏域に暮らす人口は日本全体の約半数と言われています。
リニア中央新幹線は、東海道新幹線の約2倍の時速500kmで東京、名古屋、大阪のメガリージョンを結ぶことになり、東海道新幹線に比べ、最速で東京〜名古屋間を現状の94分から40分に、東京〜新大阪間を現状の142分から67分に短縮されることになります。
つまり大阪から東京への移動が、これまでの出張という枠組みから通勤圏に変わることになります。
さらにリニアの開通は大都市圏だけにメリットがあるわけではありません。
現行の東海道新幹線では「のぞみ号」が運行本数の半数以上を占めており、ダイヤは満杯状態です。これが、リニア中央新幹線の開通によって、「のぞみ号」の役割を一定数リニア中央新幹線にシフトできるのでダイヤに余裕ができ「ひかり号」や「こだま号」の本数を増やす大幅なダイヤ改正の可能性がでてきます。
さらには、これまで「のぞみ」が止まることなく通過していた駅に新たに停車することも考えられ、これまでの「ひかり号」や「こだま号」のみの利用にとどまっていた中間駅の皆様の利便性の向上や地域の活性化にもつながるということになります。
後述しますが、現在、静岡県知事がリニア中央新幹線の静岡県内の工事について反対の意思を示されています。利便性とは別の観点からの反対ということですが、リニアの開通に伴い静岡県民の皆様の利便性の向上にも繋がっていくと考えます。

3.リニアモーターカーの科学技術
視察の中でもリニアモーターカーの技術面について多く説明をいただきました。文章での報告よりもホームページから動画等で視覚的にご覧いただければと思いますので、HPのリンクを添付しておきます。ぜひご覧ください。
https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/about/
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4.静岡県における状況
東京(品川)〜名古屋を経由して大阪へ至るリニア路線が、必ず通過する位置に静岡県があります。報道等でご存じのとおり、静岡県が工事着工を認めないのはトンネル工事で南アルプスの地下水が漏れ、県中西部を流れる大井川の水量が減少するという「水問題」と工事による残土置き場の大雨時の安全性を懸念した「土問題」です。
特に「水問題」について説明しますと、具体的に予定されている静岡県内の工区は8.9km。その全てを南アルプスの真下を通ることになります。
トンネル工事により南アルプスを源泉とする大井川の水位に影響が出るのではないかという「水問題」から懸念が始まりました。
JR東海側も毎秒2トンの水が失われると試算し、対策としてトンネルの湧き水をポンプで汲み上げ大井川に戻すと提案したところ、県側は湧水の全量を戻すこと、大井川への影響が出ないという科学的根拠が示されないと工事着工を認めない方針です。その他、世間では様々リニア着工を認めない理由として挙げられていることもありますが、不確定な話も含むためここでは割愛します。
これまで東海道新幹線「のぞみ号」は静岡県内で停車することはありませんでした。いわゆる「静岡飛ばし」とも言われてきました。しかし、先述したように今回の視察での説明に「のぞみ号」の代替えとなるリニア中央新幹線が開通することで「のぞみ号」の本数が減り、その分「こだま号」「ひかり号」の本数が多くなることで、静岡県に停車する本数も増えることになります。
静岡県にとってもリニア開通のメリットは大きいと説明を受けました。現状としては静岡県の川勝知事とJR東海側の落とし所は見つかっていません。

5.気になる乗車料金
JR関係者との質疑応答の中で、大きな関心の一つにあったのがリニア中央新幹線の乗車料金です。正直な話、まだ料金体系については未定とのこと。しかし、余りに高額な料金だと乗客数が少なくなることも考えられます。目安となるのは航空運賃であり、これと大きな差額の出ない程度の料金体系になるのではないでしょうか。
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6.いざ試乗、時速500kmを体感
今回は山梨リニア実験線にて「L Zero(0)」の車体に乗車をさせていただきました。
外観はこれまでの東海道新幹線の先頭車両よりもフロントノーズは長く、空力が考慮されています。実は私、小学生の頃に鉄道マニア?(撮り鉄)として鉄道写真をよく撮影していたこともあり、今回の視察は人一倍興味津々、楽しみにしておりました。
さて、まずは実際に乗車してみての車内の感想についてですが、座席は東海道新幹線よりも狭く2座席の2列並び。空力抵抗も考慮し細長い車体になっています。
そしていよいよ出発です。よく利用するJR東海のN700系新幹線の最高時速300kmをはるかに凌駕する時速500km。これまで経験したことのないこのスピードの感想は、だいたい時速160kmあたりまでは車体と地面が接触していて、その後ぐんぐんと加速していくと、ようやく車両の超伝導磁石の力によって車体が浮上します。時速500kmとなると、もっと騒音や振動が大きいのかなと想像していましたが、飛行機の着陸時よりもはるかに静音性が高いと感じました。

7.いつ開通なの?
今回見た、神奈川県駅(仮称)については地下30mまで掘削が進み、リニア新幹線の駅舎の工事が進んでいました。各駅においては在来線とのアクセスの良さまたは高速道路入り口から近い場所でパーク&ライドによる乗車で利便性を高める模様です。
当初、リニア中央新幹線の開業時期について東京〜名古屋間は2027年、さらに大阪までの延伸は2037年を目標とされていましたが、ご存じのとおり静岡県で工事の認可が降りないため、すでに工事の1年遅れが生じています。
しかし、それ以外の名古屋までの区間については土地の取得も進んでいるとのこと。我々維新の会はリニア推進派ですが、個人的には静岡県での工事がストップするのであれば、先に大阪〜名古屋間の工事を進めてはと思うところですが、これは大阪府民の我田引水なのでしょうか。

ということで今回はリニア中央新幹線での視察体験を記事にしてみました。建設に要する費用の概算額(車両費も含む)と9兆300億円というビックプロジェクトです。しかし、政治の方向性により工期が長くもなれば、順調に進むということもあります。何が正しいのか政治家にとって民意は大切です。科学的なエビデンスと一地域だけでなく将来の日本像をしっかりと見据えた上でのインフラ整備の必要性を感じさせられた1日でした。

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デジタルDXに向けた韓国視察

先の通常国会閉会後、議員有志、大学関係者、民間の方々と共に韓国へデジタルDXの視察へ行って参りました。
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韓国は日本に比べ、10年デジタル化が進んでいると言われています。この夏、議員の海外視察に批判が集中しました。フランスでの視察が中身のない、観光旅行気分と国民の目に映ったのが原因です。直接ではないにせよ、税金で賄われている議員視察中に物見遊山気分で記念撮影したものを、ネットに堂々と公表しているようでは、国民の怒りが爆発して当然です。私も一段と身を引き締め、今回の視察で日本と韓国のデジタル化の違いについて、2泊3日でみっちりと勉強をしてきた内容の一部を報告いたします。今後はこの成果をご一緒した皆様との人脈を活かし、マイナンバーカードで揺れている日本のデジタル化を一歩でも先に進めるための活動をしていきます。
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◆韓国のデジタル化へのきっかけは
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韓国でなぜデジタル化が進んでいるのか?韓国では普段の生活の中でも現金はほぼ使われず、免許証もスマートフォンがあれば事足りている状況です。韓国がデジタル化に舵を切ったのは1997年IMFの通貨危機が発生して韓国財政が逼迫を極めたことがきっかけでした。そこで当時の金大中大統領が旗を振り、20年で韓国をデジタル化先進国にして国際競争力を取り戻すため大号令をかけたということです。
日本で現在問題となっているマイナンバーにしても、そもそも韓国では徴兵制があるため「総背番号制」となっており、そのような背景も導入促進の好材料となったのでしょう。
しかし、日本と韓国の決定的な違いは、国のトップが政策をやり切るのだという強い意志があるかないか、この点を強く感じました。日本では成熟した民主主義であるが故、様々な既得権益に対して気を使い、ある意味強引な政治は嫌われます。しかし、国のトップが未来予想図を国民に示し、国民が将来どのような恩恵を得られるのか、国の成長戦略はどうなっているのか、といった青写真を提示した上で、時にはブルドーザーのように政策を推し進めていく気概も必要です。そのためにも基本的な制度設計はきっちりと行い、国民理解を得ていく必要があると考えます。

◆日本は自治体ごとにバラバラなシステム
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韓国行政等のデジタル化については、まずは全国的なシステムを構築し、その後各自治体がその情報を中央に集約しビックデータ化することで、効率的な運用を行なっているように見受けました。
一方で日本では各自治体がそれぞれ独自のパッケージを作ることで、市町村にあったシステムを構築しています。私が地方議員をしているころから町レベルでは予算が貧弱でシステム構築ができないため、デジタルシステムの標準化を求められたことが度々ありました。これについては、大きい自治体、小さな自治体の財政規模に左右されない、汎用可能なシステムづくりを国が主導していくことが、あるべき姿であると感じます。

◆貴重な人材
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次に専門的人材とシステム開発、運用経費についてです。現在の日本の仕組みでは自治体ごとに行政の業務知識とシステム構築や分析といった専門的能力を持った人材が必要になってきます。しかし、全国の各自治体でそのような有用な人材が多くいるわけでなく、システム開発や運用経費に非常に高額なコストをかけています。自治体ごとの非効率な開発によって韓国のシステムの10倍程度支払っている市町村もあるとのことです。
当然のことながら、この非効率で高額なシステム作成に支払われているのは、住民が納める税金です。国も自治体も開発する企業側の皆さんとの理解も深めながら早急な対策を講じていく必要があると考えます。

◆視察先の感想
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以下、訪問先について役割や機能などを、要約しながら報告していきます。

◎地域情報開発院(KLID;Korea Local Research & Development)
KLIDは、日本の(財)地方自治情報センター(現 地方公共団体情報システム機構)を参考に作られた組織で、自治体システムの構築を行い、無償で各自治体に提供している団体です。
日本では、先に述べたように各自治体が独自にシステムを構築している点が大きな違いがあります。その他に地方公務員が国家政府から委任された公共サービスや行政事務をオンラインで処理できるようにする「地方行政統合情報システム」や地方公務員の採用、組織、管理、退職等の標準的な人事管理支援システムである地方自治体の人事管理システムなどが整備されています。

◎恩平(ウンピョン)区役所
恩平区はソウル特別市の北西部に位置し、人口約54万人の都市であり区民に対して情報リテラシーの向上を図る教育を行なっており、非対面での行政サービスを推進しているとのこと。
例えば、住民票を取るにも区内各地にあるATMのような機械で取得可能であり、区外へ引越しをする際にも転居の手続きをすれば自動的に転入先の手続きも終了しているなど、わざわざ役所に来ずともスマートフォン一つで手続きが済んでしまう点など効率化と利便性が図られていました。
その効果もあり、54万人の都市でありながら区役所職員の人数も少なく、日本の役所のように区役所受付で多くの人が並んでいるという光景を見受けることはありませんでした。
ということは、人件費に財源を割くこともなく他の住民サービスに転化できる、ということでもあると思います。

◎行政情報共同利用センター
行政機関、公共機関、金融機関、教育機関等の情報を電子化して共有し、各自治体での情報化ではなく、全国標準プログラムを構築し、運用を行なっているセンターです。
情報が統一化されており、オンラインで申請すれば、自治体やコンビニに行く必要はありません。

◎政府情報資源管理院(NIRS)
中央行政機関や自治体、公共機関の情報管理システムや国家情報通信網等の安定的な運営、効率的統合・情報管理・保護・保安等の事項を統括する機関です。韓国行政安全部の所属機関になります。
またクラウド化も推進されており、2019年47%、2020年52%、2021年60%と進みつつあります。

◎韓国教育放送公社(Educational Broadcasting System;EBS 国政ネット塾)
2000年に設立された組織であり、あらゆる教育格差を是正することを目的とした教育専門放送機関。2004年以降、講義内容はインターネット上にあり、いつでもどこからでも学習できる環境(e-Learning)を構築し、無料で提供をしています。このEBSのコンテンツは日本のNHK教育放送を参考にしているということでした。そこから発展して今では若い世代の教育格差だけでなく生涯教育、さらに海外にコンテンツを販売するという手法で収益を上げているということでした。
まさに税金だけで決められた枠内で業務を行うのではなく、財源についても自らで稼ぐという視点も反映されている点については民間経営の感覚も取り入れた手法であると感じました。

◎カカオバンク
韓国最大のネット銀行で2017年にインターネット銀行として営業を開始。2日で47万口座、5日で100万口座、3週間で200万口座の登録があったとのこと。さらに全ての銀行のATMで出金、入金、送金が可能であり手数料は無料としている。
カカオバンクは日本でも使われているLINEと同様、スマホやタブレットにおける無料通信電話やメッセンジャーアプリによる文字や写真、動画等の送信などができるコンテンツを前身としています。
個人的に感じたのはスタッフが若く(自分が歳をいっただけなのか?)様々なアイデアを出しあっている様子が推測されます。

◎現代アサン病院
厚生労働委員会の所属する私にとって、個人的に今回の視察の中で気になっている視察先でした。こちらの病院は建坪面積が87,000坪あり、2,700余りの病床を有する韓国最大の病院であり、1日平均の外来患者は11,000名を超えているとのことです。病院見学の際に地下へ行ったところ病院内にショッピングモールがあり、病院関係者だけでなく多くの方が買い物や食事をしているなど、日本では見られない光景に遭遇しました。
しかし、特筆すべきはこのコロナ禍で話題にもなったオンライン診療はもちろんのこと、日本ではまだ2%程度しか導入されていない電子処方箋で薬の処方がなされており、スムーズな調剤と薬の受け取りにつながっています。加えて、病院内各所にATMのような機械が設置されており、そこで診療と薬代の会計がなされていること、日本のように病院の受付に人が溢れ会計待ちをしている様子はそこにはありませんでした。

◎教育学術情報学院(KERIS)
1999年韓国教育学術情報院法によって設立され、全国規模で教育・研究情報の開発、管理、提供を行っています。KERISは、小学校教育から大学教育、学術研究に至る、様々な情報が幅広く提供されるほか、教育及び情報管理についての国家計画も策定されます。
このうち、学術サービスでは、大学図書館と関わっていくいくつか事業が行われており、150の大学図書館を網羅する全国総合目録がKERISで作成されているところです。

◎松島スマートシティ
仁川経済自由特区の一つとして整備され、干潟の埋め立てで造成された土地に開発された区域です。
先端知識サービス産業のグローバル拠点を目指し、バイオ産業、教育・研究、文化・観光、MICE産業を備える国際都市を目指すとともにスマートシティ施策も推進しています。

◎仁川国際空港
仁川広域都市にある国際空港。視察時間は短かったですが、韓国最大の国際空港で2001年に開港。航空業界評価会社スカイトラックスの世界TOP100国際空港で常に上位を占め、国際空港評議会主管の世界空港サービス評価で、12年連続世界最高のサービス品質を提供する空港に選定されています。
システム化が進んでおり、例えば空港利用客の預ける荷物がどこかに行方不明になる確率は仁川空港では殆どないということを言われていました。また、この空港はいまだに拡張が続けられアジアのハブ空港としての機能が整備されています。
日本の羽田空港や関西国際空港がこの競争に勝つには、改めて国家的な対策の必要性を感じます。

以上、視察先での様子も踏まえての報告となります。かつて大阪府議会議員として、大阪港の活性化のために釜山港を訪問した経験がありますが、その後の約10年間、日本が追いついたのか引き離されたのかを自身に問う視察となりました。私自身は後者であるとの印象を抱いています。この危機感を胸に、日本の技術がナンバーワンであった過去の栄光にしがみつき、現実を受け入れることを拒むのではなく、国政においても評価すべき、学べるものは貪欲にとりいれ、デジタル先進国としての基盤整備やソフト面での取り組みに国全体で力を合わせて取り組み、科学技術大国としての再興を目指すべきであると感じました。
現在、マイナンバー保険証の問題でつまずいていますが、これを乗り越えなければ、日本の致命的な遅れを避けることはできません。この危機感を原動力に変えて引き続き国会活動に邁進してまいります。