2023年08月

デジタルDXに向けた韓国視察

先の通常国会閉会後、議員有志、大学関係者、民間の方々と共に韓国へデジタルDXの視察へ行って参りました。
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韓国は日本に比べ、10年デジタル化が進んでいると言われています。この夏、議員の海外視察に批判が集中しました。フランスでの視察が中身のない、観光旅行気分と国民の目に映ったのが原因です。直接ではないにせよ、税金で賄われている議員視察中に物見遊山気分で記念撮影したものを、ネットに堂々と公表しているようでは、国民の怒りが爆発して当然です。私も一段と身を引き締め、今回の視察で日本と韓国のデジタル化の違いについて、2泊3日でみっちりと勉強をしてきた内容の一部を報告いたします。今後はこの成果をご一緒した皆様との人脈を活かし、マイナンバーカードで揺れている日本のデジタル化を一歩でも先に進めるための活動をしていきます。
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◆韓国のデジタル化へのきっかけは
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韓国でなぜデジタル化が進んでいるのか?韓国では普段の生活の中でも現金はほぼ使われず、免許証もスマートフォンがあれば事足りている状況です。韓国がデジタル化に舵を切ったのは1997年IMFの通貨危機が発生して韓国財政が逼迫を極めたことがきっかけでした。そこで当時の金大中大統領が旗を振り、20年で韓国をデジタル化先進国にして国際競争力を取り戻すため大号令をかけたということです。
日本で現在問題となっているマイナンバーにしても、そもそも韓国では徴兵制があるため「総背番号制」となっており、そのような背景も導入促進の好材料となったのでしょう。
しかし、日本と韓国の決定的な違いは、国のトップが政策をやり切るのだという強い意志があるかないか、この点を強く感じました。日本では成熟した民主主義であるが故、様々な既得権益に対して気を使い、ある意味強引な政治は嫌われます。しかし、国のトップが未来予想図を国民に示し、国民が将来どのような恩恵を得られるのか、国の成長戦略はどうなっているのか、といった青写真を提示した上で、時にはブルドーザーのように政策を推し進めていく気概も必要です。そのためにも基本的な制度設計はきっちりと行い、国民理解を得ていく必要があると考えます。

◆日本は自治体ごとにバラバラなシステム
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韓国行政等のデジタル化については、まずは全国的なシステムを構築し、その後各自治体がその情報を中央に集約しビックデータ化することで、効率的な運用を行なっているように見受けました。
一方で日本では各自治体がそれぞれ独自のパッケージを作ることで、市町村にあったシステムを構築しています。私が地方議員をしているころから町レベルでは予算が貧弱でシステム構築ができないため、デジタルシステムの標準化を求められたことが度々ありました。これについては、大きい自治体、小さな自治体の財政規模に左右されない、汎用可能なシステムづくりを国が主導していくことが、あるべき姿であると感じます。

◆貴重な人材
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次に専門的人材とシステム開発、運用経費についてです。現在の日本の仕組みでは自治体ごとに行政の業務知識とシステム構築や分析といった専門的能力を持った人材が必要になってきます。しかし、全国の各自治体でそのような有用な人材が多くいるわけでなく、システム開発や運用経費に非常に高額なコストをかけています。自治体ごとの非効率な開発によって韓国のシステムの10倍程度支払っている市町村もあるとのことです。
当然のことながら、この非効率で高額なシステム作成に支払われているのは、住民が納める税金です。国も自治体も開発する企業側の皆さんとの理解も深めながら早急な対策を講じていく必要があると考えます。

◆視察先の感想
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以下、訪問先について役割や機能などを、要約しながら報告していきます。

◎地域情報開発院(KLID;Korea Local Research & Development)
KLIDは、日本の(財)地方自治情報センター(現 地方公共団体情報システム機構)を参考に作られた組織で、自治体システムの構築を行い、無償で各自治体に提供している団体です。
日本では、先に述べたように各自治体が独自にシステムを構築している点が大きな違いがあります。その他に地方公務員が国家政府から委任された公共サービスや行政事務をオンラインで処理できるようにする「地方行政統合情報システム」や地方公務員の採用、組織、管理、退職等の標準的な人事管理支援システムである地方自治体の人事管理システムなどが整備されています。

◎恩平(ウンピョン)区役所
恩平区はソウル特別市の北西部に位置し、人口約54万人の都市であり区民に対して情報リテラシーの向上を図る教育を行なっており、非対面での行政サービスを推進しているとのこと。
例えば、住民票を取るにも区内各地にあるATMのような機械で取得可能であり、区外へ引越しをする際にも転居の手続きをすれば自動的に転入先の手続きも終了しているなど、わざわざ役所に来ずともスマートフォン一つで手続きが済んでしまう点など効率化と利便性が図られていました。
その効果もあり、54万人の都市でありながら区役所職員の人数も少なく、日本の役所のように区役所受付で多くの人が並んでいるという光景を見受けることはありませんでした。
ということは、人件費に財源を割くこともなく他の住民サービスに転化できる、ということでもあると思います。

◎行政情報共同利用センター
行政機関、公共機関、金融機関、教育機関等の情報を電子化して共有し、各自治体での情報化ではなく、全国標準プログラムを構築し、運用を行なっているセンターです。
情報が統一化されており、オンラインで申請すれば、自治体やコンビニに行く必要はありません。

◎政府情報資源管理院(NIRS)
中央行政機関や自治体、公共機関の情報管理システムや国家情報通信網等の安定的な運営、効率的統合・情報管理・保護・保安等の事項を統括する機関です。韓国行政安全部の所属機関になります。
またクラウド化も推進されており、2019年47%、2020年52%、2021年60%と進みつつあります。

◎韓国教育放送公社(Educational Broadcasting System;EBS 国政ネット塾)
2000年に設立された組織であり、あらゆる教育格差を是正することを目的とした教育専門放送機関。2004年以降、講義内容はインターネット上にあり、いつでもどこからでも学習できる環境(e-Learning)を構築し、無料で提供をしています。このEBSのコンテンツは日本のNHK教育放送を参考にしているということでした。そこから発展して今では若い世代の教育格差だけでなく生涯教育、さらに海外にコンテンツを販売するという手法で収益を上げているということでした。
まさに税金だけで決められた枠内で業務を行うのではなく、財源についても自らで稼ぐという視点も反映されている点については民間経営の感覚も取り入れた手法であると感じました。

◎カカオバンク
韓国最大のネット銀行で2017年にインターネット銀行として営業を開始。2日で47万口座、5日で100万口座、3週間で200万口座の登録があったとのこと。さらに全ての銀行のATMで出金、入金、送金が可能であり手数料は無料としている。
カカオバンクは日本でも使われているLINEと同様、スマホやタブレットにおける無料通信電話やメッセンジャーアプリによる文字や写真、動画等の送信などができるコンテンツを前身としています。
個人的に感じたのはスタッフが若く(自分が歳をいっただけなのか?)様々なアイデアを出しあっている様子が推測されます。

◎現代アサン病院
厚生労働委員会の所属する私にとって、個人的に今回の視察の中で気になっている視察先でした。こちらの病院は建坪面積が87,000坪あり、2,700余りの病床を有する韓国最大の病院であり、1日平均の外来患者は11,000名を超えているとのことです。病院見学の際に地下へ行ったところ病院内にショッピングモールがあり、病院関係者だけでなく多くの方が買い物や食事をしているなど、日本では見られない光景に遭遇しました。
しかし、特筆すべきはこのコロナ禍で話題にもなったオンライン診療はもちろんのこと、日本ではまだ2%程度しか導入されていない電子処方箋で薬の処方がなされており、スムーズな調剤と薬の受け取りにつながっています。加えて、病院内各所にATMのような機械が設置されており、そこで診療と薬代の会計がなされていること、日本のように病院の受付に人が溢れ会計待ちをしている様子はそこにはありませんでした。

◎教育学術情報学院(KERIS)
1999年韓国教育学術情報院法によって設立され、全国規模で教育・研究情報の開発、管理、提供を行っています。KERISは、小学校教育から大学教育、学術研究に至る、様々な情報が幅広く提供されるほか、教育及び情報管理についての国家計画も策定されます。
このうち、学術サービスでは、大学図書館と関わっていくいくつか事業が行われており、150の大学図書館を網羅する全国総合目録がKERISで作成されているところです。

◎松島スマートシティ
仁川経済自由特区の一つとして整備され、干潟の埋め立てで造成された土地に開発された区域です。
先端知識サービス産業のグローバル拠点を目指し、バイオ産業、教育・研究、文化・観光、MICE産業を備える国際都市を目指すとともにスマートシティ施策も推進しています。

◎仁川国際空港
仁川広域都市にある国際空港。視察時間は短かったですが、韓国最大の国際空港で2001年に開港。航空業界評価会社スカイトラックスの世界TOP100国際空港で常に上位を占め、国際空港評議会主管の世界空港サービス評価で、12年連続世界最高のサービス品質を提供する空港に選定されています。
システム化が進んでおり、例えば空港利用客の預ける荷物がどこかに行方不明になる確率は仁川空港では殆どないということを言われていました。また、この空港はいまだに拡張が続けられアジアのハブ空港としての機能が整備されています。
日本の羽田空港や関西国際空港がこの競争に勝つには、改めて国家的な対策の必要性を感じます。

以上、視察先での様子も踏まえての報告となります。かつて大阪府議会議員として、大阪港の活性化のために釜山港を訪問した経験がありますが、その後の約10年間、日本が追いついたのか引き離されたのかを自身に問う視察となりました。私自身は後者であるとの印象を抱いています。この危機感を胸に、日本の技術がナンバーワンであった過去の栄光にしがみつき、現実を受け入れることを拒むのではなく、国政においても評価すべき、学べるものは貪欲にとりいれ、デジタル先進国としての基盤整備やソフト面での取り組みに国全体で力を合わせて取り組み、科学技術大国としての再興を目指すべきであると感じました。
現在、マイナンバー保険証の問題でつまずいていますが、これを乗り越えなければ、日本の致命的な遅れを避けることはできません。この危機感を原動力に変えて引き続き国会活動に邁進してまいります。

平和への感謝と祈り

こんにちは。池下卓です。今年のお盆期間は皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。
この間、台風7号をはじめ各地が豪雨で被害を受けました。また大雨による東海道・山陽新幹線のダイヤの乱れで大勢の方が各地で影響を受けられました。被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに被災地の早期の復旧をお祈りします。
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8月15日、終戦記念日。
この日私は朝から「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の一員として昨年に続いて、靖国神社に参拝しご英霊に感謝と祈りを捧げました。
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その後日本武道館に移動し、天皇皇后両陛下ご臨席のもと執り行われた「全国戦没者追悼式」に参列しました。
こんにちの、ともすれば当たり前と感じている日常は、戦没された多くの尊い命と苦難の歴史の上に築かれていることを改めて感じながら、ご英霊に敬意を表しつつ、平和への願いを込めて追悼の誠を捧げました。
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私たちは歴史に学びながら、国際社会で協力し合い、未来に向けて平和な国づくりに努める責任があります。
そしてロシアによるウクライナの軍事侵攻をはじめとした、世界中の紛争をなくし、平和な未来を築くため、世界中が手を取り合わなければなりません。そのためにも終戦記念日にあたる8月15日は、それぞれにおいて戦争の悲劇を胸に刻み、平和への願いを新たにする一日であってほしいですし、私たち国会議員は、全身全霊、努力を惜しまず戦争の惨禍を繰り返さない社会の実現に向けて、心を一つにして邁進する決意を確認する一日であるべきです。

また、先の通常国会で成立した「改正戦没者遺骨収集推進法」はいまだご帰還が果たされていない戦没された方々のご遺骨を、早急にお迎えするための法律です。今を生きる私たちの重大な使命を池下卓も全力で果たしてまいりますので、これからもご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

対馬で離島・へき地医療の課題を勉強

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こんにちは。池下卓です。台風の被害がとても心配です。みなさん、くれぐれも用心なさってください。
さて、ただいま国会は休会中ですが、このたびは衆議院の厚生労働委員会の理事メンバーで対馬に赴き、離島・へき地医療の課題について深く学ぶ機会を得ましたので、初めてお送りする「池下卓メール卓配便第1号」は、その時の視察内容をお伝えしたいと思います。
対馬市は九州北部の玄界灘に浮かぶ6つの島と102の無人島からなる、人口2万8千人の長崎県の自治体です。四方を海に囲まれた日本の中でも特に対馬は、美しい自然に囲まれた場所でありながら、離島であることから医療面での課題に直面しています。
このような地域で医療の質を向上させるためには、国としての力を結集することが不可欠ですが、一方で昨今の電気代や燃料代の高騰によって経営が圧迫している医療施設へのサポートも重要です。今回の対馬での視察を通じて、以下のような課題を目の当たりにしました。

◆4つの課題
〇1つ目は医療従事者の確保です。IMG_3560
対馬における医療スタッフの不足は深刻な問題となっており、特に専門性の高い看護師の確保が課題となっています。また、医師の偏在対策として、国会でも議論になった「かかりつけ医制度」の充実が重要な鍵になるのではと感じました。周産期を診る産婦人科医の不足は、離島・へき地医療に限らずですが、注視しなければならない課題です。
〇2つ目は交通アクセスと救急搬送の向上です。
対馬の離島特有の交通アクセスの制約が、患者の移動や医療機器の供給に影響を及ぼしています。救急時、離島と本土を結ぶドクターヘリはまさに命をつなぐ翼であり、へき地医療には欠かせません。また、ドクターヘリが出動できない際の自衛隊ヘリによる夜間搬送時の手続きの煩雑さも学びました。

〇3つ目は地域の高齢化への対応です。
地域の高齢化が進む中で、高齢者向けの医療・介護サービスの充実が喫緊の課題となっています。地域包括ケアの充実は島内においても行政を巻き込んで進められているとのことですが、今後はヘルパーさんはじめ、介護従事者の人材確保が課題です。

〇4つ目は障がい者の支援対策についてです。DSCN1528
今回、就労継続支援事業所の現場で働く皆さんと所長さんにお話をお伺いしました。
対馬産の木材をチップに加工したり、建材として本土に送ったりと、地域の特性をいかした事業を展開されています。ただ、コロナの影響や昨今の燃料高騰の影響で以前の売り上げに戻らず、工賃が以前の水準に戻らないといった根本的な課題は離島でも同じです。

◆私の考える対策
まとめとして、今回の視察を通じて、離島・へき地医療が抱える課題解決のためには、人工知能を医療において最大限活用し、医療DXの推進が特に必要であると感じました。
ただ現在、政府が進めるマイナンバー保険証の制度は、自身のカードに他人の情報が登録されているケースが多発するなど、とんでもない事態となっています。国民の多くから信頼を失ったままで進める、マイナンバー保険証制度は拙速でありますが、一日も早く不安を払拭する手立てを講じ、オンライン診療を始めとした医療DXの推進によって、離島・へき地の医療充実をはじめ、国民の健康増進政策に努めていきたいと思います。

◆最後に感想
今回の派遣では、大阪出身の私としてはなかなか実感がわかない離島・へき地医療の課題を肌で感じさせてもらいました。来年は医療・介護・障がいサービス報酬のトリプル改定の年です。今回の派遣で学んだ課題を生かして対馬だけでなく、他の離島・へき地医療においても、より良い医療を提供できるよう努力してまいります。